2012年7月25日水曜日

埼玉西武ライオンズ 2012年シーズン前半戦を振り返る

お久しぶりです。

さあ、今回はプロ野球もちょうど折り返し、ということで埼玉西武ライオンズの2012年シーズン前半戦をたっぷり振り返っていきたいと思います。



さて、この2012年シーズンは帆足、ミンチェ、フェルナンデスなど昨シーズンの主力が多く退団。
そこでライオンズはヘルマン、カーター、ウィリアムス、ゴンザレスという4人の新外国人、そしてシーズン直前に嶋を補強。ドラフトでは十亀、小石という即戦力の社会人を補強し、昨シーズン以上の戦力の充実を図った。

そしてプロ野球の評論家たちは一斉にライオンズを優勝候補とした。



2012年シーズン開幕


開幕戦は2年連続札幌の地に乗り込んでファイターズとのゲームとなった。

ライオンズの開幕投手は涌井。一方ファイターズの開幕投手は斎藤。

昨シーズンはダルビッシュ相手に快勝し、今年も快勝でスタートしたいところでしたが、先発涌井が4回0/3で6失点(自責5)と誤算。打撃陣も斎藤に4安打と沈黙。9-1と昨シーズンとは真逆の完敗からのスタートとなってしまう。

翌日は投手リレーで逃げ切りを図るも、オープン戦で絶好調だったクローザー、ゴンザレスが大誤算。1点のリードを守りきれずにサヨナラ負け。

第3戦は岸が7回2/3を無失点の好投。打撃陣は中村のソロホームランで挙げた1点しか取れなかったが、前日に炎上したゴンザレスもこの日はリードを守りきり今シーズン初勝利!

開幕カードを1勝2敗という成績で終える。



誤算だった序盤戦


開幕カードを負け越したライオンズ。4月は西武ドームでの開幕ゲームも落とし、この後西武ドームで昨シーズン苦手としたホークスに3タテを献上するなど、7勝しか挙げられなかった。

問題はここ数年の課題である中継ぎ陣の崩壊、そして打撃陣が打てなかったことにある。

中継ぎは松永が安定した投球を見せるも、マイケル、ゴンザレス、そして昨シーズン大車輪の活躍を見せた岡本篤志が安定せず、先発が好投するも中継ぎでゲームを落とすことが多かった。

先発陣においては、開幕投手を務めた涌井がその後も安定せず、4月中に2軍落ち。

一方の打撃陣

4月に行われた19ゲーム中、ライオンズが5点以上取った試合はわずかに3試合。
この期間中の平均得点はわずか約2.7点と極端な貧打だった。

昨シーズンのホームラン王、中村が4月は絶不調でホームランもわずか1本。
他にも浅村など打率が上がらないバッターが多かった。

そして、もう1つ心配な点があった。それはホームゲームで勝てないという現象だ。
4月はホームゲームを10試合行ったが、2勝しかできなかった。

更には天候にも惑わされた。
4月の第3週(9日~15日)には4試合が予定されていたが、そのうち半分の2試合が雨天中止。
他のチームが連戦を行う中、ライオンズは4日間試合が無かったなんてこともあった。

ヤフードームで米野がファルケンボーグから逆転満塁ホームランを打つといった劇的な試合もあったが、4月のライオンズに強さは見られなかった。





交流戦でチームに活気が



セ・パ交流戦では、13勝11敗と2つの勝ち越しという成績だったライオンズ。
序盤戦のあの低調ぶりからすると、ここまでよく持ち直したものである。
特に6月の交流戦では8勝4敗といい成績を残すことができた。


その要因は大きく分けて2つだ。


1つは先発投手陣(石井、牧田、岸、西口)が奮闘してくれたことにある。
特に石井と西口は交流戦での防御率が共に1点台と安定したピッチングを見せてくれた。
そして実は、この13勝のうち12勝はこの4人(4人共に3勝ずつ)で挙げたものである。
更に岸は交流戦期間中で、投球回数が12球団トップの43回1/3と、奮闘してくれた。


2つ目、これは当然4番中村の完全復調にあるだろう。
中村の交流戦でのOPSは、なんと驚異の1.289であった。
ホームラン12本と打点32は、共に12球団トップの成績である。


他の打者では、中島、秋山、大崎lあたりの活躍が目立った一方でキャプテン栗山が絶不調。
なんと打率は.198と、ケガをしていた中とはいえ普段の栗山からは考えられない成績である。


中継ぎ陣は、安定感は無く、先発が長いイニングを投げることが多くなっていたのであまり評価はできないが、ここでも相変わらず松永1人は安定したピッチングを見せていた。


このように、交流戦はチームにとっていい収穫となった。





リーグ戦再開後、本領発揮



交流戦終了後、ライオンズは秋山、そして交流戦で大活躍だった中村がケガで離脱。
そして7月に入ると、秋山、中村は復帰するも、片岡が離脱。
そんな苦しい状況の中、ライオンズは10勝7敗2引き分けという成績となった。


要因はたくさんあるが、中でも外野のポジション争いが熾烈であったことにある。
先程挙げた大崎は、6月の月間MVP候補にもなるほど打撃が好調だった。
他には星秀和も大きな役割を果たしてくれた。


外野争い以外では、ヘルマン、浅村の2人だろう。
ヘルマンは6月30日のファイターズ戦で、ルーキーの森内から打ったグランドスラムは今でも記憶に残っている。
浅村は、目立つことこそ少なかったものの、7月の月間打率が.333とよく打っており、7月の月間MVP候補にも選ばれた。


中島、炭谷、ケガが治ったカーター、そして交流戦では絶不調だった栗山も好調であった。


さて、投手陣であるが、ここで石井、西口、岸が一斉に離脱。
残った牧田は疲れからなのか、この時期にマメが多く出るようになってしっまった。
しかし、その穴を野上、武隈、菊池、ゴンザレスで見事に埋めた。


そして中継ぎ陣であるが、ここがようやく安定し始める。
特に長田、ウィリアムス、涌井の3人がゲームを締めれるように!
松永に疲れの色が出始めた中、ほかの中継ぎ陣(大石、十亀ら)もよく頑張った。


そうこうしているうちに、一時は9あった借金が1まで減った。
これは、ライオンズが後半戦に更に巻き返してくれることを予感させてくれる、そんな成績だろう。






後半戦に期待すること



後半戦はどのチームも苦しい試合が続くことになるだろう。


そんな中でライオンズが上位に進出するにあたって、必要不可欠な要素を上げていこう。


まずは投手陣。
ピッチャーでは菊池、野上、涌井、そしてウィリアムス。この4人だろう。
先発陣はおそらく前半戦にかなり体力を消費したので、ベストのピッチングを続けることは困難。
そこで菊池、野上の2人が後半戦に奮起してもらわないと、ライオンズの上位進出は厳しい。
特に野上はここ最近安定したピッチングを見せているため、この状態を保ってほしい。
中継ぎでは、涌井はクローザーで固定、そして8回をウィリアムスに任せられれば大きい。
現状では長田が8回を任され、安定したピッチングを見せているが、これから長田にかかる負担というものはより一層増すだろう。
そこでウィリアムスに期待をしたい。
1軍に再昇格した後は、コントロールが安定し、変化球でもストライクが取れるようになった。
おそらく現在のウィリアムスは他球団にとって脅威となっているであろう。
涌井はストレートにキレが戻っているのは言うまでもないが、これを活かせるのは現時点ではまだクローザーというポジションだからである。
このままクローザーとしてシーズンを終え、去年の牧田を上回るようなセーブ数を期待している。


打撃陣は現在の状態をキープし、その中で細かいミスを減らす努力をしてほしい。
オールスターの直前に行われたファイターズ戦では、バントミスや走塁ミスで好機を逃すといった場面が見られた。
事実、この2連戦は1分け1敗と勝利を飾ることはできなかった。
細かいことをそつなくこなし、1点を確実に取る野球が出来れば、シーズン終了後にいい結果が待っているだろう。
キーマンを上げるとすれば、キャプテンの栗山、それからヘルマンだ。
2人に共通すること、それは四球を多く選んでいることだ。
栗山は41個(リーグ3位タイ)、ヘルマンは34個(リーグ6位)とここまで多くの四球を選ぶことができている。
さらにヘルマンは盗塁もリーグ2位の21個と、ノーヒットで得点圏までランナーを進めることができるところが大きい。
しかも、2人とも勝負強いバッターである(栗山は今シーズン得点圏打率が悪いが)。
しかしヘルマンは、併殺打がリーグ2位の10個とチャンスを潰すことも多い。
これをどれだけ減らせるかも大きな要素となってくるだろう。



これだけのことが出来れば、ライオンズの優勝というのも、現実味を帯びてくる。

後半戦のライオンズに、皆さんも期待していこう。